JTを筆頭に明治ホールディングスやヤクルトなどいろいろな銘柄が高配当株として人気だと思います。
そんな食料品ジャンルの中で私が投資している銘柄はJTと日東富士製粉。
JTは有名かもしれませんが日東富士製粉の方はそれよりも少し知名度的には劣るのではないでしょうか。
この記事では私が投資しているその2銘柄について銘柄の解説や投資をしている根拠を纏めていこうと思います。
目次
食料品セクターの特徴
それぞれの銘柄を紹介する前にまずはセクターを大まかにですが紹介していきます。
JTと日東富士製粉が属するのは食品セクター。
以前の記事で紹介した水産・農林業も同じセクターに含まれます。
この業界で面白いと思えることの一つは総合商品企業が少ないということ。
飲み物、菓子、調味料といったように何かしらの強みを持っていることが多いです。
金利も低く景気も弱い時期に強みを発揮するディフェンシブな業界と言えるでしょう。
ちなみに似たようなディフェンシブとされる業界には医薬品業界や
小売業界も含まれます。
共通しているのは人間の生活において必要なことであるということ。
景気が良くても悪くても食うことは生きていくうえで必要なことです。
だからこそ、景気に左右されにくいディフェンシブな業界であると言えるでしょう。
また円高の影響を受けやすいという性質も持っています。
日本の食料自給率は2022年時点でカロリーベースだと38%、生産額ベースで58%。
ですので海外から食料品を輸入することが多いのは皆さんも知っての通りでしょう。
特に小麦粉・パスタ・佐藤・家畜用の飼料はその傾向が顕著です。
ですので円高になると輸入品が安くなりメリットとなりますが円安だと逆に高くなりデメリットと化します。
これも株価や業績、配当金へ大きく影響することも考えなくてはなりません。
さらにはディフェンシブな業界=安定と安易に考えることはしないようにしています。
少し長くなりましたがこれで大まかにでも食料品業界の特徴が掴めたでしょうか?
簡単に業界の紹介を終えたところで、ここから数値の分析に移っていきます。
私が銘柄を分析するうえで見ている項目とは以下の8つ。
- 売上高
- EPS
- 営業利益率
- 自己資本比率
- 営業活動によるCF
- 現金等
- 1株あたりの配当金
- 配当性向
これらになります。
特に気にしているのが営業利益率、自己資本比率、配当性向。
これらに関してはある程度妥協はしつつも優先して分析しています。
では各社の成績はどうなのか見ていきましょう。
2914_JT(日本たばこ)
まず紹介するのはJT(日本たばこ)。
食料品セクターどころか高配当株としても有名な銘柄と言えるでしょう。
売上高営業利益率は20%をオーバーしてたばこ会社というくくりで見ても世界トップクラス。
メビウス、セブンスターといった銘柄は非喫煙者でも効いたことくらいはあるのではないでしょうか?
喫煙者の減少やたばこの金額の値上がりなどで衰退産業と言われることを多く聞くかもしれません。
しかし、少数の企業が生産・販売市場を支配していること、利益率も高いこと、これら2点から儲かる企業であると考えています。
たばこだけではなく医薬品、加工食品まで手を伸ばしていることからたばこ産業が衰退しても他の分野で会社を残し利益を上げていくことができるのではないかとも判断。
配当権利確定月は6月と12月、1株当たりの配当金は2024年3月時点で194円、利回りは4.87%。
3月ごろに入金されることとなるでしょう。
投資を行おうとする利回りの基準は4.69%を超えることです。
私は同時期に1株のみ所有しています。
営業利益率
まず取り上げるのは営業利益率。
営業利益率とは「売上のうち、営業利益が占める割合」のこと。
営業利益率が高ければ高いほど、儲かるビジネスをやっていると言えるでしょう。
年月 | 営業利益率(%) |
2010年 | 4.83 |
2011年 | 15.96 |
2012年 | |
2013年 | 25.1 |
2014年 | 24.74 |
2015年 | 25.09 |
2016年 | 27.68 |
2017年 | 26.22 |
2018年 | 25.5 |
2019年 | 23.09 |
2020年 | 22.42 |
2021年 | 21.46 |
2022年 | 24.59 |
2023年 | 23.67 |
2024年 | 21.49 |
平均 | 22.27428571 |
営業利益率の平均を2010年から2024年の間で平均をとると驚異の22.2%。
平均なのでそこまであてにはならないかもしれません。
ですが先述したように儲かりやすい業界で商売をしていることから高いと判断できます。
自己資本比率
次に重視しているのが自己資本比率。
「企業が簡単に倒産しないか?」という安全性を判断する値ですが自己資本比率が高いほど、潰れにくい会社だと言えます。
自己資本比率についてもっと突っ込んだことを話すと、例えば、手元に現金100万円があると仮定しましょう。
自己資本比率とは、その100万円が「自分で用意したものか」それとも「借りてきたものか」という指標です。
100万円が全額自分で用意したものであれば自己資本比率100%、60%は自社で用意したけれど40%はどこからか借りてきたお金だという場合は自己資本比率が60%となります。
私はこの値だと最低限40%を求めており、60~80%あれば望ましいと考えています。
ちなみに中小企業庁が発行している「2019年版の中小企業白書」によると、自己資本比率40%以上の中小企業が10年以内に潰れる確率は3.5%。
これが私の設定した基準の根拠です。
JTの自己資本比率は以下の表とグラフの通り。
年月 | 自己資本比率(%) |
2010年 | 42.6 |
2011年 | 41.7 |
2012年 | 44.6 |
2013年 | 46.9 |
2014年 | 54.3 |
2015年 | 53.8 |
2016年 | 51.8 |
2017年 | 52.9 |
2018年 | 48.2 |
2019年 | 48 |
2020年 | 46.9 |
2021年 | 48.7 |
2022年 | 54.1 |
2023年 | 52.6 |
平均 | 49.07857143 |
一応下限としている40%を超えているので投資対象銘柄としています。
配当性向
最後に配当性向について。
配当性向とは「今年の利益のうち、何%を株主にキャッシュバックするか?」というもの。
これを見ることにより企業の配当金が無理している値かどうかがわかることでしょう。
配当性向70~80%にまで上り詰めると「そろそろ、今の水準で配当金を出し続けるのは難しいのではないか?」と考え始める数値になります。
イメージとしては「毎月の予算で何%を使い他人への贈り物を買って渡しているのか?」です。
配当性向が70~80%とまでなっているということは、裏を返せば自分のためのお小遣いは20~30%しか残らない状態。
つまり、自社へ自己投資の予算が少なくなってしまうといえるでしょう。
新しい設備を導入したり、新規事業に挑戦するといったことが難しくなってしまうはずです。
私はこの配当性向を30~50%が適正と見ており、60%を超えたら注意、70%を超えると投資には適さないと判断しています。
根拠としては60%を超えた時点で今後配当金を無理してでも出すようになり、企業自体の成長性が鈍化すると考えているからです。
年月 | 配当性向(%) |
2010年 | 38.75 |
2011年 | 22.84 |
2012年 | 23.74 |
2013年 | 37.6 |
2014年 | 50.1 |
2015年 | 43.6 |
2016年 | 55.2 |
2017年 | 63.9 |
2018年 | 69.7 |
2019年 | 78.6 |
2020年 | 88.1 |
2021年 | 73.4 |
2022年 | 75.4 |
2023年 | 71.4 |
平均 | 56.595 |
私が個人的にJTにおいて最も難点ではないかと考えているのはこの配当性向。
私の基準としては30~50%内にあればいいと考えていて、70%を超えていたら条件によっては投資をやめるというように考えています。
JTは2024年3月時点で71.4%。
2010年から2023年までの平均をとると56.595%となっていますが近年の配当性向の高さは無視できません。
とはいえ、最も高かった2020年の配当性向88.1%から徐々に落ちてきているので私の求める70%いかに落ち着いてくれると推測。
配当金を無理してでも出してくれるのはありがたいですが事業の発展とのバランスもとってほしいなと思います。
今の配当金が維持されるなら持ち続けますがもし2年連続で減配となったら売却も十分選択肢として入ってくるはずでしょう。
JTの総括
- 営業利益率、自己資本比率ともに文句なし
- 配当性向のみ少し高め、2年連続で減配となったら売る
2003_日東富士製粉
2社目に紹介するのが日東富士製粉。
食品の安全・安心を永遠のテーマに掲げ小麦製粉事業を中心に幅広いビジネスを展開している会社です。
小麦粉事業というと聞きなじみがないかもしれませんが具体的には、パン用粉や麺用粉、業務用ミックス粉など小麦粉を基にした製品を事業として手掛けている会社です。
外食産業への小麦粉提供の多い会社でもあり例を挙げるとケンタッキーなどの大手フランチャイズチェーンとの提携をしたり、人気のベーカリー監修の小麦粉を販売したりと、シェア上位の企業ではできないような細かい事業、スキマを狙ったような商売をしているともいえます。
2024年3月時点で配当利回りは3.25%、1株当たりの配当金は176円。
配当権利確定月は3月と9月、私は同時点で1株のみの所有です。
投資の基準としている利回りは3.35%を超えたぐらいとしています。
ではここから日東富士製粉に投資している理由を解説していきます。
営業利益率
年月 | 営業利益率(%) |
2010年 | 4.82 |
2011年 | 3.84 |
2012年 | 1.97 |
2013年 | 2.46 |
2014年 | 2.97 |
2015年 | 3.2 |
2016年 | 3.94 |
2017年 | 4.75 |
2018年 | 5.85 |
2019年 | 7.58 |
2020年 | 7.94 |
2021年 | 8.03 |
2022年 | 7.42 |
2023年 | 7.62 |
2024年 | 7.03 |
平均 | 5.294666667 |
営業利益率は私の求める5%を超過しており投資には適している銘柄だと考えています。
自己資本比率
次は自己資本比率。
年月 | 自己資本比率(%) |
2010年 | 60.2 |
2011年 | 56.5 |
2012年 | 59 |
2013年 | 59.7 |
2014年 | 65.5 |
2015年 | 64.3 |
2016年 | 65.2 |
2017年 | 67.5 |
2018年 | 68.3 |
2019年 | 72.5 |
2020年 | 74.3 |
2021年 | 75.6 |
2022年 | 74.6 |
2023年 | 74.7 |
平均 | 66.99285714 |
この項目もかなり高い水準である60%を超えています。
さらに直近5年以内だと70%を超えているのでかなり財務良好だと言えるでしょう。
配当性向
最後に配当性向について。
年月 | 配当性向(%) |
2010年 | 17.95 |
2011年 | 43.62 |
2012年 | 39.78 |
2013年 | 35.3 |
2014年 | 40.5 |
2015年 | 37.9 |
2016年 | 25.7 |
2017年 | 30.4 |
2018年 | 30.2 |
2019年 | 30 |
2020年 | 30 |
2021年 | 30 |
2022年 | 40.1 |
2023年 | 40.2 |
平均 | 33.66363636 |
これも私の求める30~50%という水準でここ10年は推移しているので投資に的確であると判断しました。
さらにいうなれば40%後半くらいまで伸ばして欲しいものですがこの値を維持してくれたら十分だと考えています。
日東富士製粉の総括
- 営業利益率、自己資本比率、配当性向全てにおいて財務良好
- このまま増配もしくは配当金を維持してくれたらずっと持ち続ける
まとめ
この記事では食品セクターに属する食料品業界の高配当株を2銘柄紹介・解説しました。
私のポートフォリオにおいてまだまだ強化できるセクター、業種だと考えています。
ほかにもキリンHDや明治HDあたりがねらい目であるので今後分析をしていくことでしょう。
食料品セクターは同じ食品セクターの農林・水産業をカバーする役目も持たせているので積極的な投資をしていくことになりそうです。