日本企業だと人気の高配当銘柄が多くあり人気のセクターである素材・化学セクター。
やはり、化学業界がセクターにおいて幅を利かせており繊維やパルプ・紙の肩身は狭いようです。
しかし、分散という観点から私はこの業界にも投資をしています。
それが
- 富士紡ホールディングス
- 自重堂
これら2社です。
どちらも高配当株というテーマからしてみればあまり取り上げられないかもしれません。
ですがこの記事では2社の良さや銘柄の特徴、私が投資している根拠をまとめていきます。
目次
繊維業界の特徴
繊維業界は景気が良く金利が高い時期に発達する景気敏感株と呼ばれています。
繊維と言えば服と連想してしまいがちになりますが釣り竿、ゴルフクラブ、ラケットといったスポーツ製品。
自動車、航空、宇宙に医療と様々な分野に及んでいるのは意外ではありませんでしたか?
ちなみに筆者もせいぜいがアパレルくらいでロケットや飛行機の期待に使われているとは思いませんでした。
日本の繊維業界はどうなのかというと実際は厳しい状況です。
皆さんも知っての通り海外からはいいてくる安価な製品や人口減少による消費の停滞で儲かっているとはいえません。
しかしそこからの脱却を図ろうと服以外の分野、航空機や宇宙、医療で打開を図ろうとしています。
その筆頭と言える企業といえばこの記事では紹介していませんが「東レ」でしょう。
炭素繊維を用いた複合材料では世界No.1のシェアを手にしています。
長くなりましたがこれが私の判断した繊維業界の現状です。
ここからが各銘柄の紹介になります。
私が銘柄を分析するうえで見ている項目とは以下の8つ。
- 売上高
- EPS
- 営業利益率
- 自己資本比率
- 営業活動によるCF
- 現金等
- 1株あたりの配当金
- 配当性向
これらになります。
特に気にしているのが営業利益率、自己資本比率、配当性向。
上記3項目に関して、ある程度妥協はしつつも優先して分析しています。
では各社の成績はどうなのか見ていきましょう。
富士紡ホールディングス
1社目に紹介するのは富士紡ホールディングス。
績業、化学工業などの事業を行う傘下企業の管理を行う持株会社です。
ですが、少しずつ繊維事業から化学薬品事業へ転換をしていて2022年では繊維業の割合が2割以下となっています。
研磨剤事業として研磨材料の開発や製造、化学工業品事業として機能性材料、農薬、医薬品の受託生産も手掛けるほど。
肝心の繊維事業はというとアパレルへとフィールドを広げていますが前述のとおり縮小傾向にあるようです。
2024年3月時点で配当利回りは2.47%、1株当たりの配当金は110円という成績です。
配当権利確定月は3月と9月。
投資するかどうかの基準は利回りが2.6%を上回った時。
私は2024年3月時点で1株のみ持っています。
営業利益率
まず取り上げるのは営業利益率。
営業利益率とは「売上のうち、営業利益が占める割合」のこと。
営業利益率が高ければ高いほど、儲かるビジネスをやっていると言えるでしょう。
年月 | 営業利益率(%) |
2010年 | 9.5 |
2011年 | 10.48 |
2012年 | 9.65 |
2013年 | 14.31 |
2014年 | 7.58 |
2015年 | 10.6 |
2016年 | 9.51 |
2017年 | 16.67 |
2018年 | 11.11 |
2019年 | 10.19 |
2020年 | 10.54 |
2021年 | 14.31 |
2022年 | 16.36 |
2023年 | 12.93 |
2024年 | 8.17 |
平均 | 11.46066667 |
営業利益率を平均すると10%を超えるほど。
文句なしの成績と言えるでしょう。
自己資本比率
次に重視しているのが自己資本比率。
「企業が簡単に倒産しないか?」という安全性を判断する値ですが自己資本比率が高いほど、潰れにくい会社だと言えます。
自己資本比率についてもっと突っ込んだことを話すと、例えば、手元に現金100万円があると仮定しましょう。
自己資本比率とは、その100万円が「自分で用意したものか」それとも「借りてきたものか」という指標です。
100万円が全額自分で用意したものであれば自己資本比率100%、60%は自社で用意したけれど40%はどこからか借りてきたお金だという場合は自己資本比率が60%となります。
私はこの値だと最低限40%を求めており、60~80%あれば望ましいと考えています。
ちなみに中小企業庁が発行している「2019年版の中小企業白書」によると、自己資本比率40%以上の中小企業が10年以内に潰れる確率は3.5%。
これが私の設定した基準の根拠です。
富士紡ホールディングスの自己資本比率は以下の表とグラフの通り。
年月 | 自己資本比率(%) |
2010年 | 29 |
2011年 | 30.83 |
2012年 | 34.6 |
2013年 | 47 |
2014年 | 49.3 |
2015年 | 51 |
2016年 | 57.7 |
2017年 | 60.2 |
2018年 | 66.4 |
2019年 | 62.7 |
2020年 | 64.8 |
2021年 | 66.8 |
2022年 | 69.2 |
2023年 | 69.9 |
平均 | 54.245 |
これまた40%を超えており投資するにあたって最低限のラインは超えています。
60%を超えてくれたら牛居のですが徐々に伸びてきているので今後に期待しましょう。
配当性向
最後に配当性向について。
配当性向とは「今年の利益のうち、何%を株主にキャッシュバックするか?」というもの。
これを見ることにより企業の配当金が無理している値かどうかがわかることでしょう。
配当性向70~80%にまで上り詰めると「そろそろ、今の水準で配当金を出し続けるのは難しいのではないか?」と考え始める数値になります。
イメージとしては「毎月の予算で何%を使い他人への贈り物を買って渡しているのか?」です。
配当性向が70~80%とまでなっているということは、裏を返せば自分のためのお小遣いは20~30%しか残らない状態。
つまり、自社へ自己投資の予算が少なくなってしまうといえるでしょう。
新しい設備を導入したり、新規事業に挑戦するといったことが難しくなってしまうはずです。
私はこの配当性向を30~50%が適正と見ており、60%を超えたら注意、70%を超えると投資には適さないと判断しています。
根拠としては60%を超えた時点で今後配当金を無理してでも出すようになり、企業自体の成長性が鈍化すると考えているからです。
年月 | 配当性向(%) |
2010年 | 28.15 |
2011年 | 23.09 |
2012年 | 23.43 |
2013年 | 17 |
2014年 | 32.9 |
2015年 | 29.4 |
2016年 | 26.9 |
2017年 | 23.7 |
2018年 | 39.3 |
2019年 | 45.1 |
2020年 | 50.4 |
2021年 | 27.9 |
2022年 | 28.3 |
2023年 | 37.1 |
平均 | 30.905 |
これが富士紡ホールディングスにおいて最も懸念すべき投資材料であると考えています。
求める数値である30%をギリギリ超えているもののやはり水準としては低いです。
一時期は50%近くにまで登ったものの、その後落ち込んで再度上昇しているといった現状があります。
言い換えれば無理やりにでも配当金を出そうとする企業ではないようです。
この値が今後下がろうものなら売り出すでしょう
富士紡ホールディングスのまとめ
営業利益率や自己資本比率はかなり良好です。
一方で配当性向が低いのでこれが今後下がる、もし区は配当金の意地が2年連続で下がろうものなら売るでしょう。
3597_自重堂
もう一社紹介するのは自重堂。
ワークウェア、ユニフォーム、セーフティシューズ、医療・介護ウェアといった衣服や靴類の企画・製造・販売を一挙に手掛けるアパレルメーカーです。
一般的にイメージされる繊維業界の企業と言えるでしょう。
服に冷却ファンが付けてある空調服が主な商品で売り上げも1位。
他の繊維企業とのつながりも強いという側面があります。
2024年3月時点で配当利回りは3.95%、1株当たりの配当金は500円。
配当権利確定月は6月の1回のみ。
1株当たりの株価が12000円をこえるなどバカ高いのも特徴でしょう。
投資しようという目安は利回りが4.0%以上となった時が目安であると考えています。
わたしは同時期の時点で1株のみ投資しています。
営業利益率
まず見るのは営業利益率。
年月 | 営業利益率(%) |
2010年 | 10.78 |
2011年 | 10.07 |
2012年 | 13.68 |
2013年 | 12.36 |
2014年 | 11.28 |
2015年 | 11.65 |
2016年 | 15.72 |
2017年 | 17.71 |
2018年 | 16.73 |
2019年 | 13.17 |
2020年 | 10 |
2021年 | 12.07 |
2022年 | 13.04 |
2023年 | 17.41 |
2024年 | 15.66 |
平均 | 13.422 |
目標とする5%を超え毎年10%に到達するほど財務良好。
この点はありがたいと思って投資しています。
自己資本比率
次は自己資本比率。
年月 | 自己資本比率(%) |
2010年 | 76.5 |
2011年 | 65.5 |
2012年 | 75.2 |
2013年 | 78.8 |
2014年 | 79.5 |
2015年 | 77.5 |
2016年 | 81.6 |
2017年 | 85.3 |
2018年 | 83 |
2019年 | 81 |
2020年 | 83.7 |
2021年 | 84.9 |
2022年 | 87.5 |
2023年 | 87.7 |
平均 | 80.55 |
こちらも最も高い基準として設けてある自己資本比率80%という基準を超えています。
やはり安心して投資できていると言えます。
配当性向
最後に配当性向について。
年月 | 配当性向(%) |
2010年 | 64.07 |
2011年 | 68.24 |
2012年 | 37 |
2013年 | 23.7 |
2014年 | 54.8 |
2015年 | 30.7 |
2016年 | 129 |
2017年 | 23.2 |
2018年 | 38.9 |
2019年 | 55 |
2020年 | 53.9 |
2021年 | 56 |
2022年 | 30.5 |
2023年 | 58.7 |
平均 | 51.69357143 |
年によっては上下していて100%を超える年もありましたが平均をとるとおおむね50%台前後で推移しているのがこの銘柄です。
このままの水準かもう少し下がってほしいと思っています。
まとめ
営業利益率、自己資本比率、配当性向と私が重視する項目全てにおいて高水準な銘柄である自重堂。
しかし1株当たりの株価が10000万円を超えることがザラにあるので資金に余裕があるときかつ配当利回りが適しているときに投資しています。
全体のまとめ
この記事では繊維業界における高配当株として
- 富士紡ホールディングス
- 自重堂
これら2銘柄を紹介しました。
素材・化学セクターとなるとどうしても化学業界の株が有名かつ人気になるのかもしれません。
ですがそこ以外にも優良な株式はあると考えています。
また、分散という観点からも同一のセクター内でも違う業界に投資するようにしています。
そして、投資は自己責任でしましょう。