日本の鉱業における高配当株で有名なのはINPEXでしょう。
しかし、私はもう一社、日鉄鉱業という企業にも投資をしています。
前者は有名ですが後者はあまり、高配当株投資の対象銘柄としている人は少ないのではないでしょうか?
この記事では鉱業セクターの高配当株として私が投資している銘柄を2銘柄、その根拠と共に解説していきます。
目次
鉱業の特徴
鉱業の業界を17個のセクターに分類すると資源セクターに分類されます。
鉱業と言ってもあまり聞かない名前でしょうし簡単に解説。
鉱業とは鉱物などの天然資源を鉱脈や鉱石から取り出す産業。
採取する物質の例としては卑金属、貴金属、鉄、ウラン、石炭、オイルシェールなどがあります。
農業で生産できない材料や化学合成で作れない材料を取り出す仕事と言えるでしょう。
景気が後退しているときに輝く唯一のセクターと言えるはずです。
時価総額が1000億円を超えているのはこの記事で紹介しているINPEXと石油資源開発のみ。
ですが、その項目においても両社どちらも差が大きく、つまるところINPEXが最も強く日鉄鉱業はあくまでサブの役割で投資をしています。
前置きが少し長くなりましたがここからは各銘柄の特徴を解説していきましょう。
1605_INPEX
特徴を見ていく前にINPEXの特徴について。
INPEXは国内外で石油・天然ガス等の権益を持つ大手石油開発企業。
自己資本3兆円を超える強固な財務基盤を持ち
- 世界有数の大型LNGプロジェクトを推し進める成長力
- 約1,400kmのガスパイプラインネットワークの保有
- 世界約20カ国でプロジェクトを展開している
こういった特徴を持っています。
冒頭でも紹介したように日本を代表し世界でも有数の地力を持った企業であると言えるのではないでしょうか。
配当権利確定月は6月と12月。
配当利回りは2023年12月時点で4.24%、配当金額は76円。
2024年3月時点で私が持っている株数は1株のみです。
簡単に紹介を終えたところで、ここから数値の分析に移っていきます。
私が銘柄を分析するうえで見ている項目とは以下の8つ。
- 売上高
- EPS
- 営業利益率
- 自己資本比率
- 営業活動によるCF
- 現金等
- 1株あたりの配当金
- 配当性向
これらになります。
特に気にしているのが営業利益率、自己資本比率、配当性向。
これらに関してはある程度妥協はしつつも優先して分析しています。
ではINPEXの成績はどうなのか見ていきましょう。
営業利益率
まずは営業利益率。
営業利益率とは「売上のうち、営業利益が占める割合」のこと。
営業利益率が高ければ高いほど、儲かるビジネスをやっていると言えるでしょう。
年月 | 営業利益率(%) |
2010年 | 54.93 |
2011年 | 56.17 |
2012年 | 59.77 |
2013年 | 57 |
2014年 | 54.97 |
2015年 | 45.67 |
2016年 | 38.64 |
2017年 | 38.48 |
2018年 | 38.27 |
2019年 | 49.86 |
2020年 | 32.23 |
2021年 | 47.47 |
2022年 | 53.62 |
2023年 | 49.35 |
2024年 | 52.3 |
平均 | 48.582 |
これらがINPEXの営業利益率に関して2010年から2024年のデータをまとめた結果となります。
私の求める営業利益率10%という基準を大きく超えているため投資に適していると考えました。
自己資本比率
次に重視しているのが自己資本比率。
「企業が簡単に倒産しないか?」という安全性を判断する値ですが自己資本比率が高いほど、潰れにくい会社だと言えます。
自己資本比率についてもっと突っ込んだことを話すと、例えば、手元に現金100万円があると仮定しましょう。
自己資本比率とは、その100万円が「自分で用意したものか」それとも「借りてきたものか」という指標です。
100万円が全額自分で用意したものであれば自己資本比率100%、60%は自社で用意したけれど40%はどこからか借りてきたお金だという場合は自己資本比率が60%となります。
私はこの値だと最低限40%を求めており、60~80%あれば望ましいと考えています。
ちなみに中小企業庁が発行している「2019年版の中小企業白書」によると、自己資本比率40%以上の中小企業が10年以内に潰れる確率は3.5%。
これが私の設定した基準の根拠です。
INPEXの自己資本比率は以下の表とグラフの通り。
年月 | 自己資本比率(%) |
2010年 | 68.9 |
2011年 | 74.5 |
2012年 | 71.1 |
2013年 | 68.6 |
2014年 | 69.1 |
2015年 | 68.2 |
2016年 | 67.1 |
2017年 | 68.3 |
2018年 | 68.6 |
2019年 | 62.7 |
2020年 | 59 |
2021年 | 60.6 |
2022年 | 60.1 |
2023年 | 63.5 |
平均 | 66.45 |
こちらも私の求める基準を超えた66.45%と安心して投資しています。
配当性向
最後に配当性向について。
配当性向とは「今年の利益のうち、何%を株主にキャッシュバックするか?」というもの。
これを見ることにより企業の配当金が無理している値かどうかがわかることでしょう。
配当性向70~80%にまで上り詰めると「そろそろ、今の水準で配当金を出し続けるのは難しいのではないか?」と考え始める数値になります。
イメージとしては「毎月の予算で何%を使い他人への贈り物を買って渡しているのか?」です。
配当性向が70~80%とまでなっているということは、裏を返せば自分のためのお小遣いは20~30%しか残らない状態。
つまり、自社へ自己投資の予算が少なくなってしまうといえるでしょう。
新しい設備を導入したり、新規事業に挑戦するといったことが難しくなってしまうはずです。
私はこの配当性向を30~50%と見ており、60%を超えたら注意、70%を超えると投資には適さないと判断しています。
根拠としては60%を超えた時点で今後配当金を無理してでも出すようになり、企業自体の成長性が鈍化すると考えているからです。
今まで紹介してきた項目は成績が良いものばかりでしたが配当性向だけがネックです。
年月 | 配当性向(%) |
2010年 | 14.27 |
2011年 | 14 |
2012年 | 11.29 |
2013年 | 14 |
2014年 | 14.3 |
2015年 | 33.8 |
2016年 | 156.7 |
2017年 | 56.9 |
2018年 | 65.1 |
2019年 | 35.5 |
2020年 | データなし |
2021年 | 31.2 |
2022年 | 18.4 |
2023年 | 25.77 |
平均 | 37.78692308 |
データが無かったり2016年の配当性向が156.7%を超えていたり、ギリギリ30%に行くか行かないかどうかといった水準を言っています。
とはいえ、INPEXは2022年2月に策定した「中期経営計画 2022 - 2024」に基づき、2022~2024年度の中期経営計画期間中において、総還元性向 40%以上を目指しています。
また、1株当たりの年間配当金の下限を30円に設定し安定的な配当を基本としつつ事業環境や財務体質、経営状況に応じた自己株式取得を含む業績の成長に応じた株主還元を強化しています。
将来的に株主への還元は増加し配当性向も30%を余裕で越えるようになるのではないかと考えています。
INPEXのまとめ
営業利益率、自己資本比率ともに良好な銘柄ですが配当性向のみ気がかりであると考えています。
とはいえ資源セクターの中では利回り等を含めてかなり良好な銘柄ですので今後も継続して保有・投資していくことでしょう。
日鉄鉱業
鉱業の分野において投資しているもう一社、日鉄鉱業。
日本製鉄株式会社を中核とした日本製鉄系の企業で、石灰石の採掘や銅鉱山の開発・操業などを行っています。
石灰石の他にもタンカル、斥候、形跡といった鉱石の採掘や電気銅、電気銀の金属資源の採掘も事業です。
その他にも資源開発や不動産、環境に機械と鉱業を中心として、そこからバリエーション豊かな事業展開をしている企業と言えるでしょう。
2024年3月で配当利回りは3.3%、権利確定月は3月と9月
1株当たりの配当額は169円。
私は2024年3月時点で1株保有しています。
営業利益率
年月 | 営業利益率(%) |
2010年 | 5.02 |
2011年 | 4.76 |
2012年 | 7.18 |
2013年 | 8.41 |
2014年 | 8.33 |
2015年 | 8.16 |
2016年 | 8.84 |
2017年 | 7.48 |
2018年 | 7.14 |
2019年 | 6.06 |
2020年 | 6.45 |
2021年 | 7.32 |
2022年 | 10.54 |
2023年 | 8.31 |
2024年 | 6.13 |
平均 | 7.342 |
営業利益率は2010年から2024年の平均をとってみると7.34%。
私の求める水準よりも上回っているので投資したいと考え投資しています。
近似曲線を取ると年々よくなっている傾向がるので現状維持、もしくは上昇してほしいと思うばかりです。
自己資本比率
年月 | 自己資本比率(%) |
2010年 | 48.6 |
2011年 | 50 |
2012年 | 52.4 |
2013年 | 52.1 |
2014年 | 50.6 |
2015年 | 52.5 |
2016年 | 53.9 |
2017年 | 58.6 |
2018年 | 58.9 |
2019年 | 59.8 |
2020年 | 57.5 |
2021年 | 58.9 |
2022年 | 60.7 |
2023年 | 63.5 |
平均 | 55.57142857 |
続いて自己資本比率。
こちらも下限として定めた40%を超えて2010年から2023年の平均をとると55.6%。
求める水準に達していますので投資したいと考えるようになり投資しています。
配当性向
年月 | 配当性向(%) |
2010年 | 34.68 |
2011年 | 35.53 |
2012年 | 19.25 |
2013年 | 15 |
2014年 | 18.1 |
2015年 | 9.8 |
2016年 | 14.9 |
2017年 | 9.1 |
2018年 | 15.4 |
2019年 | 17.1 |
2020年 | 16.6 |
2021年 | 22.2 |
2022年 | 30 |
2023年 | 30.2 |
平均 | 20.56142857 |
最後に配当性向について。
この数値だけがどうしてもネックになってしまいます。
私の求める基準は最低限30%あること。
ですが2010年から2023年の結果では平均すると20.6%でした。
ではなぜ投資しているか?
- 理由は1業界に1株と投資する銘柄を集中させたくなかったこと
- 日鉄鉱業がこれまで連結配当性向30%を目途に配当を行ってきたところを長期安定的な配当方針を明確にするため、2023年度より連結配当性向40%を目途に配当を実施するものとしていること
この2点が理由としてあります。
ですのでそれに期待しもう少しだけ銘柄を持ち続けようと思ったためです。
とはいえ。この成績が達成されなければすぐさま売り出すことでしょう。
いずれにせよ2024年の業績次第になりそうです。
日鉄鉱業のまとめ
INOEXには劣るもの営業利益率と自己資本比率はかなりいいと考えているこの銘柄。
今後の配当性向次第ですが企業の方針通り上がってくれることを祈っておくばかりです。
記事全体のまとめ
この記事では鉱業に関する高配当株銘柄を2社紹介しました。
景気が悪いときに輝く業種と言える鉱業。
海外から資源を取ってくるということもあり景気、世界情勢に影響されやすくもあるのかと思います。
私は今後も当面の間はINPEXを主軸に日鉄鉱業をサブとして今後は投資していくことでしょう。
投資は自己責任で。